暮らすがえジャーナル
こんにちは、暮らすがえジャーナル編集部です。
「暮らすがえ」とは、ライフステージや家族の成長、季節や気持ちの変化に合わせて、暮らしに自ら手を加え、ありたい「私らしい暮らし」を実現していくことをいいます。
今回は、平安伸銅工業のメンバーの自宅にお邪魔しました。
「私の部屋、写真映えしないけれどジャーナルに載せていいんですか?」というSさん。でも、取材を進めるとそこには、「暮らすがえ」が作り出したとっておきの暮らしがあったんです。
Sさん(仮名)
平安伸銅工業の社員。大阪市内の一軒家に夫とハムスターとメダカと暮らしている。(最近クワガタの幼虫も増えたそう)
とにかく部屋数が欲しい!新婚生活の新居に選んだのは和室の多い一軒家。
――さっそくですが、すごく居心地の良い和室ですね!この家に住み始めたのはいつ頃ですか?
ありがとうございます。
2年前、夫と結婚したのがきっかけです。新居を決める上で、お互いに条件がありました。夫が寝室とは別に自分のプライベートルームが欲しい。私は在宅勤務もあるので仕事部屋が欲しい。だから、安くてとにかく部屋数が多い物件を探していたんです。
そんな話を不動産屋さんでして、紹介していただいたのがこの一軒家でした。
1階はキッチンとリビング、和室が一部屋と納戸とお風呂。
2階にもちょっとしたキッチンスペースと和室が二部屋、お手洗いは1階と2階に一か所ずつ。
少し古い物件ですが、部屋数も広さも十分だったし、和室にはそれぞれ押入れがついていて収納も十分。畳の部屋も落ち着いていい感じだなと、この物件に決めました。
――実際に住まわれてみて、住み心地はどうですか?例えば、収納は十分とお話されていましたが。
確かに収納のスペースが十分あります。でも、押入れって、スペースはたくさんあるんですが、広すぎて逆に物を置きづらいんですよね。
奥行がありすぎて奥のモノは取り出しづらいし、高さもあるから、そのままモノを置くと上に空間が余ってしまう。デッドスペースが多いんです。
だから、空間を無駄なく使えるように、棚をとりつけたり、突っ張り棒でひっかける収納を増やしたりしています。
階段下の押入れは、階段の段差に突っ張り棒を設置してひっかける収納を設置。「つっぱり棒って狭いスペースに役立つものだと思っていたんですが、広い収納空間でも、ひっかけたり棚を付けたりして収納しやすくするのに役立つんだと実感しました」とSさん。
夫婦でのんびりくつろぐ空間が欲しい、たどり着いた答えは「旅館」?
――収納スペースを有効に使えるように工夫されているんですね。たくさんあるお部屋は、どんな風に使われているんですか?
住み始めた頃は、1階の和室を私の趣味の部屋兼客間に、納戸を私のワークスペースにしていました。そして、2階の和室2部屋のうち、広い方の部屋を二人の寝室に、もう一つを夫の部屋兼トレーニングルームにしていたんです。夫は筋トレが趣味で結婚前からダンベルなどをいくつか持っていて。
でも、帰宅して夕食をとった後、夫は自分の部屋にあまりいないし、私は、夏になってくると冷房がない納戸では暑くて仕事ができなくなってしまって。
それで、部屋の使い方を考え直すことにしたんです。
――最初の頃から使い方を見直されたんですね。
そうなんです。
まずは、私のワークスペースを納戸から1階の和室に移しました。
あいた納戸を夫のトレーニングルームにして、夫の個室として使っていた場所を寝室にすることに。
そして、それぞれの個室が無くなる代わりに、二人でくつろげる部屋が欲しいねとなったんです。二人で過ごす場所、となるとリビングか寝室だったのですが、リビングにはソファーが無いからくつろぎにくいし、寝室だと逆に何時までもパジャマのままごろごろして過ごしてしまうから、ちょっと不健康な感じもしてしまう。
適度にくつろげて、のんびり過ごせる場所が欲しい。
で、思いついたのが旅館の部屋でした。
――旅館の部屋、ですか?
旅館の和室ってなんだか、とってもくつろげるじゃないですか。
あんな空間が家にあればいいなと。
なので元々寝室として使っていた、一番日当たりのいい2階の広い和室を旅館風の部屋に作り替えました。
――そうか、それがこの部屋なんですね!どうりで落ち着くなあと思ったんです!
ありがとうございます。
机と椅子を買いそろえて、飲み物やお菓子を冷やす小さい保冷庫とテレビを設置しました。あとメダカの水槽も。休みの日は、この部屋で夫とテレビを見たり本を読んだりして、のんびりして過ごしています。
旅館風に整えた2階の和室。茶器はベトナムで買ったお気に入りのアイテムなんだそう。
あとは、2階の水回りにも手を加えました。
もともと朝の身支度をする洗面所とランドリーとして使っている場所なんですが、コーヒーメーカーとお気に入りのティーセットも置いたんです。階段を下りて1階のリビングまで行かなくても、2階でコーヒーやお茶を入れてくつろげるようになりました。
2階のランドリースペース。洗濯機台とミニキッチン、反対側には洗面台がある。「1階に台所があるのでここのキッチンはほとんど使っていませんでした。飲み物を2階で淹れられるようになったので階段を昇り降りする手間が省けます」とSさん。
――とてもいいですね!優雅にくつろげそうです。
夫は、平日もここで朝ごはんを食べて仕事に出かけます。
1階のリビングまで降りなくても朝食をとって身支度もできるので、朝の支度が楽になったと喜んでいました。
あと、実は、二人の夢が「縁側のついた庭付きの家に住みたい」なんです。
残念ながらこの家には庭も縁側もない。でも、2階のベランダが結構広い。
「じゃあ、庭っぽくするために、ここに”ししおどし”を置きたいね。」と夫と相談したんです。
――で、作ったんですか!というか、ししおどしって作れるんですか?
そうです、作り方を調べて、ホームセンターで材料を揃えて作りました。ソーラーパネルの電源で自動で動くようにしています。噴水もできるんですよ。
作り方を調べ、ホームセンターで材料を揃えたというししおどし。ソーラーパネルのモータを使って小さな噴水も出るようにしたという。
――旅館のような和室から、ししおどしの音が聞こえる…癒しの空間ですね。
ありがとうございます。実は、こういった物を作るのは初めてでした。
なので、構造や材料集めは、社内で工作が得意なメンバーにもアドバイスをもらったり。おかげで、満足のいくものが作れました。
ししおどしのあるベランダは、旅館風の部屋に面している。窓を開けると心地よい水音が聞こえてくる。
「暮らすがえ」で手に入れたのは、のんびり過ごせる癒しの時間
――家の中で快適に過ごす工夫をたくさんされていますよね。これまでのご自宅でもこういった工夫をされていたんですか?
そんなことないですよ。
私、これまで家ってただ寝るだけの場所だったんですよね。一人暮らしを始めてから、仕事の都合で引越しが多かったのと、前職が忙しく、家の中で過ごす時間があまりなくて。だから、どうせすぐ引っ越す、帰っても寝るだけの場所に対して、何かをこだわるという発想がなかったんです。
でも、転職してプライベートの時間が増えて、夫と二人で暮らすようになった時、長く過ごす自分の家を、ちゃんと手をかけて良くしたいと思うようになったんです。
――そうだったんですね、元々DIYや整理収納は得意だったんですか?
全然です(笑)。
でも、元々裁縫が趣味で、欲しい小物は自分で作ったりしていたので、欲しいものを自分で作る、ということには慣れていたのかもしれません。
この家も「こうしたい」「ここにこれが欲しい」と自分が欲しいものを少しずつ積み重ねていった感じです。
洗濯しやすい動線を整えたり、押入れを使いやすくしたり、夫婦でのんびりくつろげるように部屋やベランダを整えたり。
色々実践していく中で、改めて「家を住みよく整えていくっていいな」と思いました。
古い家なので暑さ寒さの問題はありますが、今の暮らしをとても気に入っています。
――Sさんが「暮らすがえ」で手に入れたのは、夫婦でまったりとくつろげる癒しの時間だったんですね。これからもっと手を加えたい場所はありますか?
リビングはもうすこし手を加えたいなと思っています。今回紹介していないんですが、今のリビングにはテレビとテーブルとイスしかなくて、あんまり長居して落ち着く感じじゃないんですよね。このスペースももう少しくつろげる環境にしたいです。
――まだまだこのご自宅も進化していきそうですね。お話を聞かせていただきありがとうございました!
最後に案内していただいた玄関前のスペース。マスクやハンカチなどの身支度セットと一緒に、夫婦の思い出の品が飾られている。
編集後記
「私の家、全然写真映えしないけど、いいんですか?」と取材をお願いした際におっしゃっていたSさん。
確かに、Sさんのご自宅は、デザイナーズマンションでも新築でもない。雑誌で取り上げられるようなおしゃれさはないけれど、なぜかとても居心地が良くて、「こんな家に住みたいな」と思う。
その理由は、取材を進める中で、家の隅々にまで、自ら手を加え、心地よく過ごす工夫がされているからだと気づきました。
今回ご紹介いただいた場所以外にも、「ここはこんな風に作って」「この場所ではこういうことができるようにして」と家の至るところの工夫を教えてくださったSさん。
「私らしい暮らし」って見た目のおしゃれを指すわけじゃない。
「こんな風に暮らしたい」という願いを叶える「暮らすがえ」の積み重ねが
自分だけのとっておきの空間を作り出していく。
それこそが「私らしい暮らし」なのだ。
さあ、暮らすがえ。