暮らすがえジャーナル

組織体制が変わって約半年。社内ではじわじわと変化が起こっています。
その変化の理由は?そして、今後の私たちの夢は??
今回は、ちょっと嗜好を変えて、経営者自宅でのんびりご飯を食べながらお話を伺いました。
(左から)
常務取締役 竹内一紘(以下:かず)
代表取締役 竹内香予子(以下:かよ)
執行役員 羽渕 彰博(以下:ハブチン)

――ご飯、とっても美味しそうです!!
かよ:今日はおでんです。お漬物も自家製なんですよ。
かず:自家製の塩麴と混ぜただけなんですけどね。
ハブチン:めちゃくちゃ美味しい!
かよ:せっかくいろんな調味料を買って料理しても、かずさんが塩麴や醤油麹で食材を合えただけのご飯の方がおいしかったりするんですよね。なんかちょっと悔しい(笑)

ミッションが社内の中に浸透しはじめた
――普段のお二人の雰囲気が伝わってきます(笑)さて、新体制になって半年が経過しましたが、経営者である皆さんが感じられている変化はありますか?
かず:「暮らすがえ」が社内で浸透してきたことも大きいかなと思っています。僕たちは「暮らすがえ」の文化をつくることをミッションに掲げていましたが、どれだけ言葉を並べても、「つまり何を実現したいのか」ということが社内にはいまいち浸透していなかった気がしていて。
でも、最近こんな風に僕たちの自宅でメンバーと話す機会を設けたのですが、皆ちゃんと家の中を私らしく作ってたんですよね。体感知として浸透し始めてるんじゃないかな。

ハブチン:「暮らすがえ」とは、と問われると難しいけれど、「自分たちはこういう暮らしがいいから、これをユーザーに届けたい。」という自分の思いと、会社の方向性、お客様の喜び、この3つをつなげていく作業をし始めた感じがありますね。メンバー自身がそこをつなげたいと思い始めているなっていうのをすごく感じるようになりました。
執行会議でも「これは『暮らすがえ』かどうか?」なんて議論が出てきたりもして。これは大きな変化だと思いますね。
ミッションの広がりは「余白」と「オフィスの変化」
――でも、「暮らすがえ」というミッション自体は社内に前からあった言葉だと思います。それが今社内で広がり始めた理由は何なのでしょう?
ハブチン:理由を自分なりに挙げるとすると、この1年、僕は余白を作ったなという思っていて。たとえばカルチャーグループでは業務を徹底的に整理して、本人がやりたくない業務をどんどん手放したり、適材適所を意識してきました。そうするとメンバ-に心と時間の余裕が生まれて、考える時間ができるんですよね。「暮らすがえ」って何だろう?って考える素地ができたのは大きい。
――なるほど。思考の余白、ですね。そういえば、その結果、オフィスを変える提案が生まれましたね。
かよ:これまでオフィスのレイアウトは私とかかずさんが主に意見を出して変更してきたんですが、メンバー自身で課題を設定して、それを解決するレイアウトを考えてくれました。
「暮らすがえ」って何だろうとか、私たちが提供したい価値って何だろうとか、実際に考えて手を動かしながら体感することで理解も深まった。その象徴的な出来事だったなと思っています。

(before)物置になっていたスぺ―ス

(after)作業やミーテング、談笑ができるコミュニティスペースに
かず:今回、僕たちは何もやってないもんね。結果論だけど、自分ごと化してもらうためにもメンバーにやってもらうことがとても大事だったと思います。前より雑談も増えてオフィスの雰囲気が良くなった気がしますし。
ハブチン:みんなが気持ちよく働くために働く空間の在り方を模索するのは、「暮らすがえ」にも繋がっているし、環境を変える力の影響力はもっと広げていきたいと思いましたね。
――オフィスを変えたり、そこで働くことで、ミッションの解像度が上がっていったのですね。
ハブチン:それに、新しくできたスペースや整理しなおした場所って、決して派手でおしゃれな訳じゃないんですけど、地味な心地良さを感じるんですよね。素朴さやリアルさがなんか良い。
かよ:平安伸銅工業の「日常生活に即したい」という価値観が反映されている気がします。仕事も生活の一部と捉えたら、著しく華美なものは晴れの日の姿でよくて、日常生活で心地が良いとか違和感がないとか導線がスムーズとか、私たちはそっちを重視して体現したいなと思いますね。
社外の人も巻き込んでギブし合う関係性を目指す
――社内で体感知の上がった「暮らすがえ」はこれからどんどん形になっていきそうですね。その先で「もっとこうしていきたい。」という思いはありますか?
ハブチン:さっき、雑談が増えたという話がありましたが、越境とか交流は、すごく大事だと思います。会社の在り方もも暮らし方も、ひとつしか知らない人と10通り知っている人では見ている世界が全く違う。冒頭の塩麴だって、教えてもらうと貰わないとでは料理の考え方も変わりますよね(笑)
自分の常識で固まっていると気づきにくいけど、外の視点が入ることで新たな視点がみつかる。越境・交流をして外部の視点は定期的に取り入れた方が良いなと思いました。
かず:そういった交流を生んでいく意味でも、社外の人とも普段からギブし合う関係性がつくりたいなと思っています。
例えば、「これで悩んでいる人がいたら、○○さんを紹介してあげるのがいいかも。」って人や仕事を繋いだり。
かよ:私のメンターしてくださっている方がそれを「回転寿司理論」って呼んでるんです(笑)。目の前に回ってきた寿司ネタを見て「サーモンきたよ、あなた好きでしょ食べ!」って他の人に教えてあげる感じ。
目の前にきたものを全部自分のものにするんじゃなくて、必要としている人に教えてあげる。そうすることでまた自分にも返ってくることもあるんじゃないかなって。

ハブチン:その人のことを想ったおせっかいですよね。
短期的な利益を期待したギブアンドテイクではなくて、長期的な目線でギブを続ける。
自分たちで全てをまかなえる大企業なら必要ないかもしれないけれど、僕たちのような中小企業だからこそシェアしながら助け合っていくのが、勝ち方でもあるなと思っています。
そもそも、今この家の中を眺めても、「暮らし」って布とか家電とかいろんなもので成り立っているから、どんどんコラボしてやっていったら良いですよね。
かよ:そうですよね、共感し合う人たちと協力し合うみたいな関係性が作れたら良いですよね。
人とのつながりの大切さに原点回帰できた出雲出張
――社外との越境、そのためのギブ、面白い考え方です。どうして「ギブをする」という考えに至ったのでしょうか。
ハブチン:かよさんとかずさんが出雲に定期的にいくようになって、2人ともだいぶ変わった感じがします。かずさんは元々のかずさんが出てきた感じだし、かよさんはおせっかいぶりが復活した感じというか(笑)原点回帰したのかな。これも半年間の中で大きい変化でしたよね。
かず:出雲では、あらためて人のつながりの大切さを感じたんですよね。僕らがちょっと「これに困った」と言っただけで、周りが進んで手を貸してくれ、いつの間にかいろんな人とどんどんつながっていく。ただただ自分のことを考えてギブしてくれているのがわかるんです。それに、人を介したつながりだと無下にはできないから「ちゃんとやろう」とも思えるんですよね。
そういう体験を通して、会社でも、もちろん強制はしないけど、もっとメンバーや社外を巻き込んでギブしていきたいなってスタンスに変わりましたね。結局幸せって人とのつながりにあると思いますし。
関わってくれるみんなの幸せを目指しながら試行錯誤を続ける
――「平安伸銅は、つっぱり棒の会社から暮らすがえの会社になる」ことを目指しているけど、スタンスは人とのつながりとかおせっかいとかに原点回帰していく感じがおもしろいですね。
かよ:小規模の中小企業だからこそ、短期利益ばかり追求したり、大企業のようにやろうとすると、自分たちの特徴は出ないし社会にインパクトは与えられません。
時間軸を長くとらえて、これまで合理性の中で消去してきたようなことも取り組みながら成長戦略を描いていくやり方が、自分たちの組織の規模や背景にあっているのかなと思ったんです。

かず:もしかしたら今平安伸銅の関係性が良いからこそ、ギブをするフェーズに入れているのかな。自分たちがまず満たされないことにはギブなんてできないですから。
ハブチン:そうだと思いますね、ギブできる余白ができている感じ!成長を感じますね。
――こういった変化の先で、平安伸銅のユーザーに届けたい価値っていうところもお伺いしたいです。改めて「暮らすがえ」で何をユーザに届けていきたいと考えていますか?
かよ:「私らし暮らしを届ける」ここはずっと一貫して変わっていません。十人十色の私らしいくらしを追求ところに関しては、まだまだやり切れていないので。
すごい技術や、お金をかけなくても、自分の住まいが居心地のよい場所として家族や仲間と共有できる場になればもっと幸せになるし、その総量が増えていけば社会も幸せになっていく。それが平安伸銅工業の目指している在り方です。
つっぱり棒はその手段のひとつ。これらはつっぱり棒だけで解決できるわけではありません。商品の幅を広げていきたいし共感してくれる仲間たちともっとほかの手段でも実現できる手段を整えていきたいです。
ハブチン:プロダクトだけじゃなくてそれにまつわる体験も提供していきたいですよね。いろんな商品があるけど平安伸銅工業を選んでよかったという状況をつくるためには、プロダクトだけじゃなくてコミュニケーションやリレーションが大事になってくる。
暮らしは家族だけのものだけど、いろんな人が関わり合って成り立っているのが気持ちいいので、いろんな企業と関わりながら仕事できたら、友だちが増えていく感じですごくよいと思います。
かず:100億の売り上げを目指すということも、変わりません。それは、売り上げを上げたいのはもちろんですが、それくらいお客様を喜ばせたいという想いです。
でも、ただ数字を追いかけることでメンバーが苦しむなら売り上げは追わなくて良いのかなとも思っていて。正直、結果がでないのは経営者側の責任ですから。
ただ、今のチームでうまくいかない訳がないとも思っています。うまくいかなかったらきっと社会がおかしい(笑)そんな気持ちでやっていきたいですね。

和やかな雰囲気の中、平安伸銅についての変化とこれからについて話し合った3人。「アイデアと技術で私らしいくらしを暮らすがえで叶えていく」というユーザーに届けたい価値は変わらないと語るかよさんの言葉が印象的でした。内と外との壁を取払い、越境しながら平安の未来を広げ続ける、平安伸銅工業の挑戦はつづきます。