暮らすがえジャーナル

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メンタリングで再認識した“平安”な暮らし 第2回「かよこサロン」ゲスト:ウィズグループ代表 奥田浩美氏

2025年2月14日に平安伸銅工業本社で開催された第1回「かよこサロン」。
初回は平安伸銅工業代表・竹内香予子の共同経営者であり夫である竹内一紘氏を招き、「夫婦で刻む新しい1ページ」をテーマに語らいました。
第2回のゲストは、竹内代表のメンターで株式会社ウィズグループ代表の奥田浩美氏。2人が出会ったきっかけや未来の会社経営、そして「魂が喜ぶ生き方」について熱いトークが繰り広げられました。

第一印象は超イケイケの女性経営者だった

――竹内と奥田さんとの出会いは2014年。当時、奥田さんが開いていた「奥田サロン」に参加しようと考えていた竹内ですが、悪天候で参加がかなわなかったといいます。その後、奥田さんに連絡したことが出会いのきっかけだったそう。

竹内香予子(以下:かよこ):「奥田さんとは業界が違いすぎて何者なのかも当時はまだ分からない状況でした。その後の2019年に初めてお会いしましたよね。お会いする前の印象は写真にもあるように“超イケイケの女性経営者”で(笑)。でも話していくうちにそういう人ではなくて、より憧れやリスペクトの思いを抱くようになりました。」

奥田浩美さん(以下:奥田):「かよこさんと初めてお会いしたときは、すごくまっすぐな人だなって思いました。まっすぐなだけに、どこにでも刺さっていくみたいな。」

かよこ:「たしかに…。」

奥田:「ただ柔軟になるべきとは思わなくて、生きていく先さえあれば、このまままっすぐにいけば腹の底から会社を続けられるんじゃないかなと感じました。」

かよこ:「奥田さんにメンタリングをお願いしたときは、家族と家業をどうしていこうか、悩み始めていたタイミングだったんですよ。それも踏まえて自分自身はどう生きたいのか、奥田さんに助言をもらいましたね。」

対話の中で悟った“平安”な暮らし

――月に1度、東京にある奥田さんの拠点を訪れて約2時間のセッションを受けた竹内。奥田さんとのセッションでは、どのような学びを得たのでしょうか。

かよこ:「1回目は会社の事業計画をスライドにして持って行ったんですけど『それには魂は込もっていないから、必要ないよ』と一蹴されました(笑)。『心の底から、これを達成したいと思っている?』とズバッと聞かれたのを覚えています。」

奥田:「うんうん(笑)。そもそも平安伸銅は何を目指していた会社で、あなたつっぱり棒を伸ばしていきたいのか、新規事業を立ち上げたいのか。どうしていきたいの?と約2カ月間、お話しました。」

かよこ:「新規事業は何がしたいの?と奥田さんに問われたとき、防災の話が浮かんだんですよ。じゃあ防災で何をしたいのかを掘り下げて。」

奥田:「かよこさんから『常に平和な状態の社会構築をしたい』との言葉を聞いたときに、“平安”の会社の名前に込められているんじゃないかって感じたんです。先代、先々代はいったい社名に何を込めたかったんだろうねって。」

かよこ:「私が奥田さんにお見せした事業プランと、“平安”という言葉が結びついた瞬間はびっくりしましたね。」

奥田:「本来は、防災などの社会のためのインパクト事業は5年や10年かかるんです。でも平安伸銅はそこに取り組める事業のベースがあるので、ものすごい宝物を持っている状況で。しかも一緒に支えてくれる仲間や、人生を支えてくれるパートナーもいるんですよ。」

かよこ:「そうですね。そうした文脈を平安伸銅の中でも広げて、次のチャレンジに持っていけたらと考えられるようになりました。」

奥田:「4カ月目には、その描いた未来を実行するために、自分自身の在り方は整っていますか?ってね。」

かよこ:「そこで4カ月目に突入するんですよね!」

奥田:「何かを成し遂げるためには、自分も家族も本当に貢献できるぐらいの強さとたくましさが必要。だけれども、それが今なんだろうか?と正直に話し合いましたね。
今の男性社会が作ったビジネス界は、相手を押しのけてでも成り上がって行くイメージ。ただそこで女性が戦おうと思うと、片手に銃を持ちながら、片手に赤ちゃんを抱いて戦場に向かうみたいな。それは絶対無理だよってね。『だから女はダメなんだ』ではなくて、社会のほうが男女含めて戦わずに済むような領域のビジネスを1つ作るとか。時には自分からプロジェクトを推し進めるペースを落とすことも大切なことですよね。」

かよこ:「そうですよね。私もいざ事業プランをブラッシュアップして現実的な計画に落とし込んでいこう!リングに立とう!と考えていたのですが、結局、体が動かなくなるみたいな現象を起こしてしまったんですね。産後うつのように意味もなく涙が出てきて。そこで年明けに奥田さんにアドバイスを求めました。」

奥田:「私も2000年に出産をしたあと、2001年に会社を立ち上げたのでかよこさんの気持ちがすごくよく分かりましたね。」

製品のその先のストーリーを見据えて

――トークセッションでは、未来を見据えた平安伸銅工業の在り方について話し合う場面も。

奥田:「経営者が1人だけ未来ばかりを見て、目の前の従業員がついていけなくなるのはよくある話。製品を作りながら、時代を作る側、それを支える人と進む人を社員の中でも細かく分けてグラデーションにするのがいいんですよ。」

かよこ:「そこで次のアクションとして、クリエイターの感性を持った人が、意思決定に関わっていけるようなチームビルディングを模索しています。見落としがちな感性や直感を生かしていける組織にすることで、多様な人材が増えて、結果的にお客さまに良いものが届けられるよねって。」

奥田:「私が新規事業開発のコンサルティングでよく話をするのが、『喜怒哀楽を差別しない』こと。生活者のために作るにもかかわらず、誰かのため息も悲しみも、涙も認めない会社では作れませんよね。
どんなことに悲しみや怒りを感じるのか、原点に立ち返って製品づくりをするのがカギなんです。ストーリー性を軸にした“ナラティブ”をどのように作るのかは、マーケティングの世界でも重要になってきています。」


*ナラティブ(narrative)
一般的に「物語」「語り」「話術」といった意味を持つ。マーケティング手法の1つとしても用いられ、ユーザー1人ひとりが主体となって紡ぐストーリーにアプローチすることを指す。

奥田氏と竹内代表による公開メンタリング

――会社の原点からひも解き、竹内に“気づき”を与えていく奥田さんのメンタリング。今回は2人によるメンタリングの時間を設け、竹内がメンティーとして奥田さんと対話をする様子を公開しました。

かよこ:「メンタリングの中で印象的だったのが『チャンスの回転寿司理論』でした。」

奥田:「自分の『好き』の発信と、相手の『好き』の発信を知る。それも好きな仲間の範囲のことをたくさん知りましょうっていう理論ですね。事業に対する強い思いがあることを発信するのであれば、反対に情報の受け取り上手になることもすごく重要です。」

かよこ:「“受け取り上手になる”という部分がすごく刺さります。私自身、さまざまな人たちと関係を構築していく中で、どんな未来を思い描いて動き出そうとしているのかをきちんと伝える努力もするし、皆さんのやりたいことも傾聴する。互いにチャンスを回してその輪を広げていけば、必要な情報が入ってくるんですね。」

奥田:「東京にスタートアップがたくさん生まれているのも、情報が回りやすいからで。普段接している人にしか、本音の情報は回さないんです。そのためには東京からの情報を待つのではなく、そうしたエコシステムづくりを関西で作るべきなんですよ。ガンジーの言葉の1つにありますが『あなたが見たいと思う世界の変化に、あなた自身がなりなさい』。まさにこれですよね。」

かよこ:「なるほど。ありがとうございます!奥田さんと話していて、もっと時間軸を長くとらえることの重要性に気づかされました。セッションの序盤で『あなたの娘が大人になったときに、あなた自身がどんな存在でありたいですか?事業がどうなっていたいですか?』と問いを投げかけられたんですよ。当時はその時間軸で物事を考えたことがなくて、目先の売り上げどうするとか、どう事業を伸ばすかに目が向いていました。
これからは『平安な暮らしを届けていく』をテーマに、ビジネスパーソンとしての人生をまっとうしたい。そしてその姿を娘に見せたいです。」


***


竹内は奥田さんとの魂を揺さぶる対話を通して、会社と自身の現在地とともに未来の見識が深まった様子でした。

奥田さんから紡がれる優しくも力強い言葉は、きっと参加者にも勇気と希望を与えたのではないでしょうか。次はどんなゲストが登壇するのか、楽しみにしていてください!

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